先週読んだ本をご紹介します。
『マインドセット「やればできる!」の研究』、著者はスタンフォード大学心理学教授、Carol Dweckさん。
“Growth Mindset” という言葉は最近よく耳にしていて、気になったので、研究者ご本人は何を言っているのか、読んでみました(翻訳版ですが)。
・Growth Mindset(しなやかマインドセット)を持っている人は、「人は成長できるものだ」と考えているので、失敗したときにも、それで自分の価値が決まるとは考えず、そこから何かを学んで成長につなげることができる。
・Fixed Mindset(硬直マインドセット)を持っている人は、「人の能力や資質は変わるものではない」という考えが根底にあるので、一度の失敗や成功が、そのまま自分の価値を表すと考えてしまう。そのため、失敗しそうなことにはチャレンジしたくない。
この二つのMindsetを、さまざまなスポーツ選手や音楽家、経営者などを例に出したり、子どもたちの実験結果を出して、説明しています。ジョン・マッケンローがFixed Mindsetの例で何度も出てきて、ちょっと可哀想でした。
特に気になったのは、子どもの褒め方。結果を褒めるべきか、過程を褒めるべきか、という話。
自分の子ども時代を振り返ると、親はあまり勉強に関心がなく、テストの点が良くてもそんなに褒めてくれなかったのですが、他の大人の人たちは「恵ちゃんは頭がいいね~」と褒めてくれたり、友達もスゴイスゴイと言ってくれました。そして私は小学生までは、たぶんFixed Mindsetだったと思います。「そうか、私は頭がいいのか」と思っていました。
それが中学受験をして第一志望の学校に入った途端、一気に成績が「中の下」になったので、ビックリして頑張り始めました。すると、成績は上がっていきました。「がんばらなければ伸びない、でもがんばれば結果が出る」ということに気付いて、徐々にGrowth Mindsetに変わっていきました。それを特に感じさせてくれたのが、英語という科目でした。
大人になってからは完全にGrowth Mindset。新しいこと、できないことに挑戦することが楽しくてしかたがない、という状態です。「できないこと」にチャレンジして、だんだんできるようになる過程をワクワク楽しんで生きています。
この本に出てくる実験では、最初にFixed Mindsetになるような言葉をかけてコントロールしています。つまり、どんなMindsetを持つようになるかは、特に子ども時代には、周囲の言葉がけと環境が、かなり大きな影響を与える、ということだと思います。「頭がいいね~」という言葉だけは、自分の子にも他の子にも絶対に使わないようにしよう、その子の人生を左右するほどのFixed Mindsetを植え付けてしまうことは避けたい、と思いました。
でも、ある程度大人になったら、自分で考えて、どちらのMindsetを持つかを選べるはず。「今日からGrowth Mindsetでいこう」と決めて、しばらく意識的にそういう考え方をしているうちに、それが自分のMindsetとして定着していくのではないでしょうか。また、経験によってFixed MindsetからGrowth Mindsetに変えていくこともできると思います。もし、自分の中にFixed Mindsetが根強くあるな、と思う方は、ぜひ、この思考と行動を試してみてください。